おしりの症状があるのに、肛門科へ行きづらいという方がいます。
多くの外来初診患者さんに聞いたところ、約7割の方が「肛門科に来るのに抵抗があった」と答えています。
そして、その理由は・・・しっかり3ヶ月間の統計をとって、割合が高いものから並べてみました。
①(様々な意味で)恥ずかしい
②今までは、自然に治ってきた
③専門病院が近くになかった
④痛いかもしれない
他には、「どのみち他人に見せない部分だから」「手術がイヤだから」「肛門科はなんとなく暗いイメージ」・・・などもありました。
(診察する側の立場からすると、上記の理由は全て考え違いだと思うものなのですがねぇ)
さて、それでは患者さんはどのようにして「肛門科に来る抵抗」を乗り越えて来院されたのでしょうか。これについてもしっかり統計をとりました。
①友人の紹介や評判
知り合いで肛門科を受診した方がいれば、紹介の有無に関わらず来院しやすいようです。
②インターネット
病気や診察に関する情報がいきわたることで、安心感が生まれるようです。
「暗いイメージ」の払拭に役立つと言えるかも知れません。
③症状がひどくなってきた
痛くてどうしようもなくなってから来院された場合などです。
これらの結果からは、実は「抵抗感を乗り越えた理由」≒「この病院を選んだ理由」だというのがよくわかります。
医療者側は「肛門の悩みを相談しやすい環境をつくるべきだ」などと簡単に言いますが、
それは決して
「建物や内装をキレイにする」
「駅に近いところに病院を作る」
「診療時間を遅くまでにする」
という意味ではなく、
『ここなら(多少の恥ずかしさを我慢さえすれば)良い医療を受けられる』という信用を積み重ねることなのだとあらためて感じました。