「肛門鏡」ってご存知でしょうか?・・・決して鏡の一種ではありません。
「肛門鏡」とは、肛門内を観察する医療器具です。
肛門科を初診で受診すると、必ずといっていいほど「肛門鏡」を使って診察されます。
挿入した後に内筒を抜いて覗き込むと、肛門内を肉眼的に観察できます。
痔核(いぼ痔)、裂肛(きれ痔)などを簡単に見ることができます。
多くの患者さんが肛門科への足が遠のく理由の一つが、この「肛門鏡」にあります。
やはり肛門に異物を挿入されるのは、普通はイヤですよね。
私が肛門鏡を使って診察する時には、ゆっくりゆっくり挿入することを心がけています。
少しでも不快感を感じないように診察することは、プロの条件として非常に大きなものだと思います。
実は、この「肛門鏡」には大きな欠点があります。
それは、仮に病気(痔核;いぼ痔、裂肛;きれ痔など)があったとしても、患者さんは見られないことです・・・・・患者さんの立場では、「痔があります。治療には手術が必要です。」と医師から言われても、具体的な病気のイメージがつかめないのです。
そこで、近年は「デジタル肛門鏡」というものが発売されました。これは、普通の肛門鏡にビデオカメラを付けて、画面に映すようにした器具です。
この「デジタル肛門鏡」を用いると、13インチ程度のモニターに自分の肛門の中が映し出されることになります!!
えっ? 見たくないって?
そうかもしれませんね(笑)・・・自分の病気をご覧になりたい方だけで結構です。
私は個人的には、病状に興味がある患者さんに対して、具体的なイメージで(可視的に)説明したいと常々思っています。しかも、診察料金は「肛門鏡」と「デジタル肛門鏡」とで全く変わりありません。
だから、「デジタル肛門鏡」は最もよく使う器械の一つです。
ほとんどの医療機関にはありません・・・