皆さんこんにちは。ららぽーと横浜クリニックです。
今日は、前回の記事(「肛門の痒みは立派な”病気”!?」)に引き続き、『肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)』についてお話していきます。
肛門掻痒症とは「何らかの原因によって肛門に痒みを生じる病気」だということを前回はお話しました。
今回は、「肛門皮膚炎と似ている病気」についてお話をしていきたいと思います。
肛門皮膚炎は様々な原因によって引き起こされることがありますが、その多くは「便」に関することが原因であることが多いです。前回の記事を参考に生活習慣などを改善していくことで症状を軽減できることもあるでしょう。
ただし、肛門が痒いからと言って肛門皮膚炎とは限りません。なぜなら症状に「肛門の痒み」を伴う病気は肛門掻皮膚炎だけではないからです。
では、例えば具体的にどんな病気があるのか、解説していきたいと思います。
肛門皮膚炎にも様々な種類があり、似てて非なる病気もあります。いくつか紹介していきましょう。
・接触性皮膚炎
いわゆる「皮膚のかぶれ」です。肛門のかぶれの原因として多いのは、 市販の軟膏、生理用ナプキン、肛門専用のスプレー、消毒薬、ウエットティッシュなどがあります。また、脱肛や痔瘻からの分泌物でかぶれる場合もあります。 その場合は脱肛や痔瘻の治療をしなければ皮膚炎も治りません。
・皮膚カンジダ症
いわゆる「カビ」で「水虫」のようなものです。 もともとカンジダという真菌は正常な皮膚にも少しだけ存在するのですが、 体の抵抗力が落ちると増殖します。痒みはあっても軽度のことが多いです。
・皮膚癌
まれに肛門に発生した皮膚癌でかゆくなることがあります。 長い間、湿疹だと思っていたら実は癌だった…というケースもあります。 1ヶ月以上たっても肛門周囲の湿疹が治らず、痒みがおさまらなかったり、 症状が悪化するようでしたら一度、肛門科の専門医か皮膚科専門医を受診しましょう。
・尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルスによる感染症で、主に性行為を介して感染する病気です。 人に感染したり、他の部位に広がったりしますので早めに肛門科を受診しましょう。
・ぎょう虫症
子供の時に肛門にセロハンを当てて検査したのを覚えていませんか? 症状としては明け方にかゆくなるのが特徴です。原因が虫のため、湿疹などの皮膚変化は見られないことが多いです。ぎょう虫を駆除する薬を内服すれば治ります。
「肛門の痒み」という症状だけでこんなにも種類があるんですよ。ちょっとびっくりしませんか?
これだけ種類があると、「痒みがあるのは、肛門皮膚炎だろう!」と自分で判断するのではなく、病院へ行く必要がある病気もあることがお分かり頂けたと思います。
症状として「痒み」ですが、その症状だけでは診断がつきません。意外な病気が隠れているかもしれませんので、痒みが続くようであれば、一度専門医に診てもらうのがよいでしょう。
肛門掻痒症は何らかの原因によって肛門に痒みを生じますが、その原因としては様々な病態・病気の種類があり、それぞれ治療方法が異なります。肛門に痒みが生じたら自己判断はせず、肛門科や皮膚科のある病院にかかりましょう。
恥ずかしいとお感じになるかもしれませんが、ららぽーと横浜クリニックにも肛門の痒みで来院されている患者さんは意外に多いですよ。お気軽にご相談くださいね。
肛門の痒みは立派な”病気”!?
お尻にカビが生える!?~肛門カンジダ症~