皆さんこんにちは、横浜市肛門科のららぽーと横浜クリニックです。
過去に何度か痔瘻について当院のブログでご紹介していますが、どんな患者さん像をイメージしていましたか?
なんとなく、大人がなる病気なのかな?と思うかもしれません。
実は痔瘻は子どもが発症することもあるんですよ。
今回はそんな「乳幼児痔瘻」についてご紹介したいと思います。
「乳幼児痔瘻」とは、生後1〜3カ月の赤ちゃんにみられる痔瘻のことを言います。病名に「痔瘻」とついていることから大人の痔瘻と同じであると思われる方もいらっしゃると思いますが、実は異なる病気です。
特徴は、
●男の子にだけみられる
●痔瘻のタイプが単純で痔瘻の管が浅く直線的である
●痔瘻のある場所が側方に限られている
ということです。大人の痔瘻との大きな違いは、発症場所です。
大人の痔瘻の多くは肛門の後方(つまり背中側)に発症するのですが、乳幼児の痔瘻は側方にできるのです。
はっきりした原因はまだ特定されていませんが、 大人の痔瘻は肛門陰窩(いんか)からの細菌の侵入により発症するのに対し、乳幼児痔瘻は男の子だけに発生するところから、ホルモン因子が関与しているのではないかと考えられています。
他にも、オムツかぶれの部位に感染が生じ、その感染が肛門陰窩に逆に及んで難治性の瘻管(ろうかん)になるのではないかという考えや、下痢が多い乳幼児が発症しやすいという考えもあります。
■肛門周辺から膿が出る
■患部が赤く腫れる
■排便時に痛がる
■発熱をする
肛門の周囲が赤く腫れ、痛がります。また、38℃以上の高熱や排便障害を伴う場合もあり、悪化すると細菌が繁殖してピンポン玉くらいの大きさまで腫れあがることもあります。皮膚の一部が破れて膿が出ると熱が下がり、痛みも落ち着きます。その後、腫れたり、膿がでたりを繰り返してなかなか治りません。
大人の痔瘻と違い、乳幼児痔瘻の場合は1歳から2歳になると自然に治る場合が多いので、症状の経過を見ながら必要となる治療を行います。膿が自然に出ている場合は、指で押して膿を外に出すようにしましょう。
膿瘍が腫れあがって膿が出ない場合は、病院で切開してもらい排膿を行います。
また、抗生物質を服用する場合もありますが薬によっては便が軟らかくなり、症状が悪化する場合もあるので注意が必要になります。
悪化することは極まれですが、成人の痔瘻と同様に、根治手術が必要な場合も稀にあります。
乳幼児痔瘻の予防には、オムツ交換のたびに温水でお尻をよく洗い便が付着したままにならないようにしましょう。お尻を洗った後は十分に乾燥させてオムツかぶれを防ぎ、常に清潔にすることを心がけることが大切です。
いかがでしたか?
乳幼児痔瘻は生後1〜3カ月の赤ちゃんにみられる痔瘻で、男児に発症します。症状は肛門周囲が腫れ、膿が溜まるという大人の痔瘻と似ていますが、原因や発症場所が一般的な痔ろうとは異なるため、似た別の病気ということになります。
病気にかからない為にも、オムツかぶれに注意をし、排便後しっかりとお尻を拭いてあげることが大切です。
もし、肛門周囲が腫れ、膿がたまっているようなら早めに病院を受診し、症状にあった治療を行いましょう。当院でも診察可能ですので、お気軽にご相談ください。
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