おしりの日帰り手術.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
痔の日帰り手術なら横浜市新横浜のららぽーと横浜クリニックへ
℡:045-929-5082

肛門の手術ではどんな器具を使っているの?

2017/01/01

こんにちは、皆様いかがお過ごしでしょうか。
当院では肛門の手術は基本的にうつ伏せ(「閉脚ジャックナイフ位」といいます)で行っています。そのため、手術中にお尻をお見せすることは難しいです。手術中の患者さんの中には「今何を使って、何をしているんだろう」と思った方もいらっしゃると思います。
今後、肛門の手術を受ける予定の患者さんも、どんな器具・器械が使われているのだろうと興味がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回は当院で肛門手術に際して使用する器具のご紹介をしたいと思います。

辻仲式肛門鏡


肛門の中を観察、治療する際に使用する器具です。肛門を大きく広げて手術を行う部位を見やすくします。また、片手で手術の視野を確保できるといったメリットがあります。
当院ではほとんどの肛門手術で使用する大活躍の器具です。

ぺアン


止血や組織をつかむ時に使う鉗子でハサミのような形をしています。先端に滑り止めのギザギザがついているため、しっかりと組織をつかむことができます。
先端部の形状が、真っ直ぐな「直型」と、彎曲した「曲型(反型)」の二種類があります。
当院では主に切開排膿で患部を開く際や、血栓を摘出の際に使用します。
 

コッヘル


止血や痔核組織をつかむ時に使うもので、先端にカギのあるものを指します。
当院では主に痔核手術の際に使用しています。

※ペアンとコッヘルは外見が似ている?


上記の二つ、皆さんは違いが分かりますか?2つの器具は見た目がとてもよく似ていて、閉じた状態だとほぼ区別がつきません。
見分けるポイントは、ペアン鉗子には先端に滑り止めの溝のみがあるのに対して、コッヘルの先端部にはカギ状の突起がついていることです。
この2つは場面によって使い分けがされています。

モスキートペアン

見た目はペアンと同様で、基本的には、15cm程度のものを「ペアン」と呼び、12cm程度のものを「モスキートペアン」、それより小さいものを「ベビーモスキート」や「マイクロモスキート」などと呼びます。ただし、明確な定義があるわけではなく、医療器械メーカーによっては、サイズで分ける場合もありますし、先端部分の細さや溝の有無などで、呼び分けている場合もあるようです。
主な使用用途は、止血する際に使用します。ただし、上記の二種と違い、モスキートペアンは全長が短いため、止血用途であれば、比較的皮膚の表層に近く、かつ手術操作に繊細さを必要とする場で使用されることが多いんです。
モスキートペアンはその小ささから肛門の手術のようにより浅く、より繊細な部位に対して使用されることが多い器具です。

クーパー剪刀(せんとう)


医療用のハサミの一つで、刃先が丸く、カーブしていて幅が広いのが特徴です。
様々な使用方法があり、糸や布を切る時だけではなく、組織をはがす際にも使用します。クーパー剪刀の先端部は、幅が広く、丸くなっているため、組織を傷つけません。そのため、鈍的な剥離操作に有用な優れものです。
当院では主に糸やガーゼを切る際に使用しています。

メッツェン


医療用のハサミで、クーパー剪刀よりも先端が細く薄くなっているのが特徴です。血管の周りの薄い膜を剥がしたり、その膜を切る、血管を切るといった繊細な操作に使用されるハサミです。

持針器(しじんき)

主に外科的な手術に使用されます。縫合針を保持するための器具で、特徴は先端が短く持つ部分が長くなっており、てこの原理によって縫合針が挟まれて固定されるようになっています。
ゾンデ 
ガーゼを創部に挿入する際に使用します。
当院では主に痔ろう根治術前の切開排膿の際に使用する場合があります。

異物鑷子(セッシ)

簡単にご紹介すると、先端がとがっているピンセットです。
有鈎鑷子と無鈎鑷子の二種類があり、先端部に「鈎(=かぎ状の突起)」が「ある」タイプが有鈎鑷子、「鈎(=かぎ状の突起)」が「ない」タイプのものが無鈎鑷子です。
有鈎は皮膚や真皮などの硬い組織をつかむ際に使用し、無鈎は腸管や腹膜など軟らかい組織をつかむ時に使用します。
当院には無鈎鑷子しか使用しませんが、コンジローマなどの組織をつまむ際や、抜糸する際に使用しています。

バイポーラ

電気メスの1つで、「ふたつの(bi)電極(polar)」という意味があります。
メスの先端がピンセットの先のように2つに分かれていて、それぞれの先が電極になっている。その間に電流を発生させることで小さな病変部などをピンポイントで焼くことができます。

このピンセットの間でしか通電しないので対極板(電通させるために身体に貼るシール)は不要。圧挫(押さえつけること)と同時に圧挫と同じ方向に電流を流すので保持した組織(主に血管)を凝固止血させることが出来ます。神経の集中した部位や、外来での小手術でも使用されています。

モノポーラ

電気メスの1つで、「ひとつの(mono)電極(polar)」という意味で、メスの先端が1つの電極を持つ電気メスです。患者の身体自体も伝導体として電流が流れるため、バイポーラと違い対極板を貼る必要があります。
モノポーラでは焼きながら切開できるので術野の切開、凝固で多用されます。直径0.5mm以下の細い血管では電気メスで通電するだけで止血ができ、直径2mm以下の血管では鉗子などで掴んだうえで電気メスで通電させると止血することが出来る便利な電気メスです。

膿盆


ソラマメのような形をした30cm弱のトレイです。窪みの部分は顔や体に密着しやすくし、嘔吐など液体がこぼれにくいようにするためにあります。
主な使用用途は・嘔吐や膿汁などの液体を受ける。
・ 外傷処置時のゴミを入れる。
・ 使用済みの医療器具を入れる。
・ 手術で切除、摘出したものを一時的に入れておく。
など、様々な役割があり、医療機関では必須アイテムです。もちろん肛門の手術でも使われています。サイズや深さなどはいろいろあるため、用途によって使い分けています。

最後に…

いかがでしたでしょうか。似ている形でも役割が違いさまざまな種類があるんですよ。もしかしたら、どこかの病院で実際に見たことがあるものもあったかもしれませんね。
当院での肛門手術はドラマのような「メス」などの声掛けはなく、院長と看護師との阿吽の呼吸で行っています。その為、皆さんの想像している手術とは少しイメージが違うかもしれませんが、あっという間に終わるんですよ。
今回ご紹介した器具は当院で使用されているほんの一部にはなりますが、「こんな器具を使って手術をしているんだなぁ…」と少しでも手術のイメージがわけばと思います。

関連記事リンク

「肛門鏡」と「デジタル肛門鏡」
「肛門ブジー」をご存じですか?