こんにちは。痔の日帰り手術のららぽーと横浜クリニックです。
冬も本番ですね、体調管理には気を付けてお過ごしくださいね。
さて、今回は女性にスポットをあてて痔のお話をしていきたいと思います。女性は出産後に痔になりやすいとよく耳にしますし、「出産後に痔が~」と来院される患者さんは実際多くいらっしゃいます。
“出産後”だけではなく、”妊娠中”も痔になりやすいということをご存じですか?実は、妊婦さんの8割は痔を経験しているというデータもあるんですよ。
もともと女性は、ホルモンや腹筋の弱さなどが関係をして男性と比べて便秘になりやすい体質です。妊娠中には特有の体の変化が起きますので、それによって痔が引き起こされます。
◆黄体ホルモンの影響
女性は黄体ホルモンと呼ばれる妊娠に必要な環境を整えてくれる働きのあるホルモンが分泌されます。この黄体ホルモンは妊娠を促したり、乳腺の発達を促進しますが、腸の働きが悪くなる原因とも言われています。腸の動きが悪くなり蠕動運動(便を大腸から肛門まで運び排出する機能)がうまく働かないと、便が腸内に留まってしまう事で便秘が起こります。こうして便秘が痔に繋がってしまいます。
◆血行不良
妊娠の時期でも妊娠中期・妊娠後期には血行不良により、痔を悪化させてしまう妊婦さんはとても多いです。
1、子宮による圧迫による血行不良
お腹の中で赤ちゃんが成長するとともに子宮は大きくなります。そうして大きくなった子宮に肛門や直腸周辺が圧迫され血流が悪くなります。
2、運動不足による血行不良
健康で妊娠経過が順調な妊婦さんにとって、負担にならない程度の運動は体に良いとされています。運動不足を解消することは便秘の改善に繋がりますから、お勧めではありますが、お腹が大きくなってしまうとなかなか思うようには運動が出来なくなります。そうして運動不足になってしまうと、直腸付近の血行不良になりうっ血して痔になりやすくなります。
さらに、先ほど挙げたもののように「妊婦」として仕方のない血行不良に加えて、最近はデスクワークなどの「仕事」による血行不良もあります。長い時間椅子に座ったままの状態が続いてしまうと、肛門付近が血行不良を起こしてしまいます。これも痔が悪化する原因に繋がります。
妊娠中だとなかなか避けることの出来ないことが原因だと分かりましたね。気を付けることで改善も可能ですが、なかなか難しいようです。
さて、次はこういった原因によって、どういったタイプの痔になっていくのかをお話します。
妊娠中に起こる痔の種類としては主に、「いぼ痔」・「切れ痔」があげられます。
◆いぼ痔
黄体ホルモンの影響・子宮による腸の圧迫で起こる便秘、血行不良にで起こることが多いのが「いぼ痔」です。
便秘でできる硬い便を押し出そうとするときのいきみや血行不良によって肛門のまわりのような毛細血管が集まっている場所がうっ血してしまいます。これによって炎症が生じ、血管の一部がコブのように膨らんでしまうことでいぼ痔は発症します。
この場合は手術しないと治らない痔であることが多いですが、こうして出来る「慢性のいぼ痔」の他にも、肛門の皮下に血の塊が出来る「急性のいぼ痔(血栓性外痔核)」も血行不良が原因で発症するいぼ痔です。
◆切れ痔
いぼ痔と同じく、黄体ホルモンの影響・子宮による腸の圧迫で起こる便秘により起こるのが「切れ痔」です。便秘によって体内に溜まってしまう事で水分がなくなり、硬くなってしまった太い便を押し出そうとした際に肛門の出口付近が切れて傷つき、切れ痔は発症します。また、切れ痔は出産時の出血、痛みに繋がる為、できるだけ悪化させないよう対策をしましょう。
◆便秘を予防しましょう
妊娠中は薬に頼らないほうがいいでしょう。寒い時期はなかなか水を取る機会が減ってしまいがちですが、積極的に水分を多めに摂ったり、食物繊維を多く含む食事を心掛けましょう。
◆血行をよくしましょう
毎日お風呂に入り体を温めましょう。また、トイレの便器が冷たいと筋肉が緊張してしまい血行不良に繋がります。便座カバーを付けたり、暖房をつけるなどして暖かくしましょう。
◆医師に相談しましょう
妊娠中から痔があることが分かっている場合は、出産前に医師や助産師に伝えましょう。
お産でいきむ際、脱肛しないように押さえてくれることもあります。
また、痔が悪化してしまい辛い場合は肛門科のある病院に行きましょう。状態に応じた処置が行われたり軟膏の処方をする場合があります。
妊娠中の場合、緊急性があるもの以外は手術を行う場合は少ないです。
基本的には、妊娠している方に使用できる薬で出来るだけ症状を押さえ、出産後に落ち着いたら手術を行うというパターンが多いです。
ただし、症状がひどく悪化しているなどの緊急性がある場合に限り、出産前に手術を行う場合もありますので症状が酷い場合は我慢をせず、早めに医師に相談しましょう。
どうでしたか?
妊娠に重要な働きをする黄体ホルモンや赤ちゃんの成長に伴う大きくなった子宮による圧迫が原因では、なかなか完全には予防が難しいところもありますね。
ですが、体調が落ち着いていれば適度な運動や、腰・お腹などを温めて血行不良を予防したり、お水をしっかりと摂って便秘を予防したり、妊娠中は出来る範囲で対策をしっかりと心がけることはできそうじゃないですか?
痔が辛くなって妊娠中に来院される患者さんは少なくありません、万全な状態で元気な赤ちゃんを産んでくださいね。
今回のお話は、これから妊娠を考えている方、現在妊娠中で痔に悩まれている方にピッタリなお話だったのではないでしょうか?
女性にとって「痔」は恥ずかしいと思ってしまう病気だと思います。ですが、妊娠している方の多くが「痔を経験しているんだ!」と思って我慢はせず、症状がひどくなる前に医師に相談しましょう。
ららぽーと横浜クリニックでも診察を行っていますのでお気軽にご相談ください。
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