こんにちは、ららぽーと横浜クリニックです。
毎日クリニックで仕事をしていると、患者さんといろいろお話する機会がありますが、なかでも「痔になりやすい職業や生活習慣はあるの?」「対策方法は?」など…患者さんから聞かれることが多々あります。
そこで、今回は「痔になりやすい職業」についての記事を書いてみたいと思います。
さて、痔は一種の職業病…といわれているのをご存知でしょうか。「職業病」とは、なんだか嫌な表現ですが、痔になりやすい体勢・動作を知らないうちに取り続けている職業があるのは事実なんです。
原因
同じ体制を長時間取っていると、肛門周辺が圧迫され血流が悪くなってしまいます。 このような、血流が悪くなることは痔核(いぼ痔)が出来る原因になります。
また、血流が悪くなると腸のぜん動運動が弱まってしまい便秘を引き起こす原因にもつながります。
このように、立ちっぱなしよりもどちらかというと長時間同じ体制で座っている方が痔になる確率は高く、長距離の車を運転する仕事は痔になりやすい職業として有名です。
具体的な職業の例
・長距離、長時間の運転手(トラック、バス、タクシードライバー・教習所の教官)
・デスクワーク(一般事務、コールセンター、銀行事務、デザイナー、オペレター、建築家・IT関係など)
・競輪選手
対策
上記のような職業の方は、座席や椅子に座布団やクッションを敷きましょう。 ただし、柔らかすぎるものはお尻が沈み込み肛門周辺への負担が増してしまいます。ドーナツ型のクッションを使ったりして、肛門への負担を減らすように心がけると効果的です。。
また、1~2時間に1度、1~2分でも良いので立ち上がったり歩いたりして、血流の流れをよくしましょう。特にドライバーの方は、座席や走行中の振動も肛門付近の圧迫に繋がってしまうため、より注意が必要になってきます。時々車から降りて、車の周りを歩くだけでもかなりうっ血を防ぐ効果があります。
原因
身体が冷える職業も血流が悪くなってしまい、痔になりやすいと言われています。
身体が冷えてしまう職業でなくも、冷房が効き過ぎる環境で体が冷え、肛門周辺がうっ血してしまうことも…。
身体が冷えてしまうことは、便秘にもつながってしまいます。 便秘になると、硬い便を押し出そうといきんだ時に肛門が切れて出血してしまう切れ痔、排便の際のいきみによりできるいぼ痔などの原因になります。
そのため、身体が冷えるような職業に就いている方は痔になりやすいといわれています。
具体的な職業の例
・プールや海での仕事(監視員、スイミングスクールの先生など)
・冷房が効いている職場で働いてる方(上記で上げたデスクワークなど)
・ウィンタースポーツ(スノーボードなど)
・マリンスポーツ(サーフィンなど)
対策
まずは、身体の芯まで冷やさないようにすることが大切です。
冷房の温度設定を少し高めに設定したり、ひざ掛けやカーディガンを使ったりして体を冷やさないようにしましょう。
また、プールなどに入った後は、温かい浴槽に入り体を温めることも効果があります。
原因
重たい物を持ち上げると過度な腹圧がかかり、中に隠れていた痔が外に出てきてしまい、いぼ痔になってしまう可能性が高くなります。また、腹圧がかかることにより肛門腺へ便が侵入し発症する痔瘻の原因にもつながってしまうため、大工やスポーツ選手などの腹圧がかかる職業の方は痔になりやすいと言われています。
具体的な職業の例
・大工
・引っ越し業者
・お腹に力を入れるスポーツ選手(ゴルファー、相撲、柔道、サッカーのゴールキーパー、野球のキャッチャー、重量挙げなど)
対策
スポーツや、仕事が終わったら毎日お風呂に入り、血流を良くするようにしましょう。また、肛門をウォシュレットなどでしっかりと洗い、清潔に保つことも大切です。(ただし、ウォシュレットを強く使うのは肛門の負担になるので、NGです)
いかがでしたか? 今回は痔になりやすい職業をご紹介しました。
これから厳しい冬になっていくと、更に血流は悪くなり体が冷えてしまいます。ですから、冬になるにつれて肛門科の受診の患者さんは増えるのですが、実際に来られる患者さんは上記の理由に当てはまる方が多いのは事実です。
職業はなかなか変えられませんが、今回挙げた対策は簡単に出来るものばかりですので、気になった方はぜひ参考にしてみてください。