痔瘻の手術でセトン法についてお話した際、セトン法で手術された後、完治までは1-2ヶ月かかると,いつか書かせていただきましたが覚えていらっしゃいますか?・・・2ヶ月って結構長い期間ですよね。では実際にその2ヶ月間はどのように治癒していくのでしょうか?・・・今回はそれを図解しましょう。
step1 手術終了当日のお尻はこんな風になっています。
この輪のようになっているのがセトン(特殊なゴム)です。
手術中に、膿の通り道(痔ろうの管、ろう管と呼ばれたりします)にゴム(セトン=シートン)を通します。
step2 これが数日経つと以下の図のようになります。
ゴムがろう管を矢印の方向に切り開き、中の膿が排出されます。最初に固定した位置のままなら、ゴムの自然張力による切開が進んでいくにつれ、ゴムが緩んでくることになります。
step3 そこで、術後の消毒の際に、緩んできたゴムを締めて再度固定しなおします。
これがいわゆる「セトン締め」とよばれる処置なのです。この時患者さんとしては“つられるように痛い”と処置の間にお話されることが多いです。キレイになったろう管は深部からゆっくり肉芽が盛り上がってきて治ります。筋肉が再生されながら治療するので、排便障害はほとんどありません。ちなみにこの「セトン締め」は術後数回にわたって行います。
step4 そしてある日、ゴムがポロンととれる日がやってきます。
ゴムで切開した傷が治れば治療は完了です。
・・・いかがでしょうか。
セトン法によって痔ろうが切開されていく様子を立体的に理解して頂けましたでしょうか・・・
わかりづらいという方のために、「セトン締め」によって少しずつ切開が進んでいくのを、下の図でも表しました。
下の図の点線の変化に注目です。
前回もお話ししましたが、セトン法(=シートン法)の長所としては
*痔瘻の再発の可能性が低い
*肛門が緩くならずに患部を取り除くことができる
*肛門周囲の筋肉が少しずつ切れたところから再生されていく為、肛門の機能が損なわれない(肛門がゆるい・肛門の変形・排便障害などがない)
などが挙げられます。
治癒までの期間が1-2ヶ月だと聞くと長いように感じますが、痔瘻は自然に治癒することはまずないという病気ですので、ひどくなる前に早めに受診されることをお勧め致します。