おしりの日帰り手術.jP
医療法人社団LYC ららぽーと横浜クリニック監修
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裂肛・肛門狭窄に対する手術:LSIS

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2012/04/04

2~3日お通じがなく困っていて、ようやく排便があってスッキリしたと思ったら肛門がピキッ!・・・この症状は「切れ痔」なんて言われたりします。切れ痔とは正式には「裂肛(れっこう)」といいます。肛門が裂けるところから名前が来ており、肛門上皮の裂創・亀裂・びらん(ただれ)・潰瘍などの総称です。裂肛は肛門科の代表的な病気です。「痔核(イボ痔)」、「痔ろう(あな痔)」とあわせて三大肛門疾患とされています。多くは20~40代ぐらいの女性に多いですが、排便習慣によって男性や乳幼児、ご高齢の方にも見られるためその年齢層は幅広いものとなっています。             

以下は肛門を横から見た図です。ヒトの肛門はこんな構造になっています。

裂肛の原因としては、硬い便や下痢を繰り返して肛門の粘膜がもろくなり傷つくこと、肛門陰窩腺(上の図の歯状線というところにあります)の炎症、内肛門括約筋の緊張状態のため肛門粘膜に血行障害が起こることなどが挙げられます。症状としては、初期のものは排便時や排便後の痛み、トイレットペーパーに付着する程度の出血があるくらいのものですが、裂肛を繰り返して慢性化してくると、裂けた部分が治ろうとする際に周りの粘膜を引き寄せるため、その分だけ肛門が狭くなっていきます。これを「肛門狭窄」といい、便が細くなったり排便そのものが困難になったりします。

狭くなった肛門に対しては、「LSIS」という手術方法があります・・・ようやく本題突入ですね。
LSISとは『lateral subctaneous internal sphincterotomy =側方内肛門括約筋切開術』の略語です。読んで字のごとく、内肛門括約筋にメスで切開を入れることで肛門狭窄を解除する方法です。慢性裂肛で肛門括約筋の痙攣が強く肛門が狭くなっているケースが主な手術対象(手術適応)です。つまり、肛門の筋肉の一部に切開を加えることで、肛門の緊張を取り去ってやる手術なのです。
(参照)LSISの図解

他の手術対象(手術適応)としては内肛門括約筋の過緊張やれんしゅく(筋肉が興奮して縮んでいること)している状態、肛門狭窄の程度が軽く肛門ポリープや潰瘍など付随病変がない場合などはLSISのみで十分な効果がでます。反対に肛門潰瘍や肛門ポリープなど付随した病変がある場合や肛門上皮の進展が悪い場合はLSISでは不十分なので他の手術の追加も考えなくてはいけません。

●当院での日帰り手術手順は以下の通りです。
①まず、うつ伏せの体勢をとり肛門周囲に効く麻酔を尾てい骨の辺りから行います(下腹部にクッションを入れてお尻が持ち上がるような姿勢です)。
②そして、お尻を開くようにテープで固定します。
③手術で実際に切開する部位は触診で一番緊張している所(力んでガチガチになっている所)にします(そこが一番効果的な場所です)。手術の名前に「側方」と書いていますから右?左?と思いがちですが、左右側方に限る必要はないとされています。ポイントは歯状線(上の肛門の図をご参照ください)にかからないこと!!もし切開が歯状線にかかったら手術後に出血や感染を起こすことがあるためです。

●ここからはやや専門的(患者さんはskip OKです)
LSISの方法は大きく分けて2種類あります。1つ目はopen法、もう1つはblind法です。
まず1つ目のopen法ですが、open法は肛門縁の内肛門括約筋溝付近に5mmほど環状に切開を入れて内肛門括約筋を直視して切開する方法です。筋肉を直視できるので良く見えるということが利点なのですが、傷が大きくなりやすく出血の心配や治るまで時間がかかるため患者さんへの負担が大きくなります。
そして2つ目のblind法は、Notaras法とHoffman.Golgher法に分かれます。Notaras法は肛門上皮と内括約筋の間にメスを入れて外側にメスを向けて切開します。Hoffman.Golgher法は内肛門括約筋と外肛門括約筋の間にメスをいれて内側にメスを向けて切開します。メスで肛門の上皮を損傷してしまうリスクやメスの角度によって不十分だったり深すぎる切開だったりしてしまうと十分な効果が得られないということがあるため、どちらの方法にしても熟練した医師の技術がとても必要ということになります。どの手術方法も「切開は最小限に」が鉄則です。少し切開しては触診を行い、狭窄解除が不十分だと判断された場合には追加切開をして調整します。

こんなに沢山書きましたが、実は手術時間は3-5分程度です。手術後は院内でしっかり1時間ほど休憩していただき、医師からの手術内容と所見の説明があります。 お尻はどうしても自分では見えない場所ですから、しっかり見るには誰かに見てもらうしかないんですね。そのための肛門科ですから困ったときには遠慮なさらずにいらしてくださいね。