今回は痔核の手術の中でもメジャーな方法と言われている「結紮切除術」という手術についてご紹介したいと思います。
・・・皆様この術名を何と読むか分かりますか!?
これは「けっさつせつじょじゅつ」と読みます。少し難しい読み方ですよね。
昔、研修医だった友人が「けっさく」と読んで、ツッコミを入れられていました。
「ケッサクはお前じゃ!」と。
では、この結紮切除術とは一体どのような手術なのでしょうか?
「結紮切除術」とは、痔核を肛門の壁から切除し痔核の脱出症状を完全になくす手術のことをいいます。
痔核の根治手術というと通常ではこの手術方法のことを指すくらいに肛門科の手術のなかで最も多く行われている手術なのです。
この手術方法は、どんなタイプの痔核(内痔核・内外痔核・外痔核など)・どんな進行度(Ⅰ度からⅣ度と痔核の程度によって段階があります)であっても対処可能で、患者様への負担を最小限に抑えることができます。
また痔ろうや裂肛を合併している場合であっても対処可能で術後の排便機能を損ないにくい手術方法でもあります。
「結紮切除術」の利点を挙げると・・・
①肛門に対して縦の傷で治るため肛門が狭くならず、術後の排便時に困らない。
②手術の傷が最小限なので術後の痛みも少ない。
③手術時間が短い。
以上のようなことが挙げられます。
手術手順としては・・・
①まず肛門周囲のみにかかる仙骨麻酔、または腰から下にかかる低位腰椎麻酔をかけます。
②手術中はうつぶせになり下腹部に枕をいれてちょうどお尻が持ち上がるような体位になります。
③肛門を開大させ、内痔核を器具ではさみ、肛門上皮側からV時型に切開をいれます。
④痔核を粘膜とともに肛門の壁から剥離させて痔核の根元にある動脈をしばります(内痔核は肛門付近にある3本の動脈の近くにできます)。このことをを結紮するといいます。
(動脈を縛る糸は10日~14日で自然に吸収される特殊な糸を使用しますので、抜糸のために痛い思いをすることはありません。)
⑤痔核に流れる血液を止めて、肛門周囲の筋肉を傷つけることなく痔核部分だけを切除し、場合によっては一部縫合して手術終了です。
(参照)痔核(いぼ痔)の日帰り手術
術後は数時間で歩行可能で食事はその日から摂ることができ、入浴は術後2日目から可能です。
なかなかご自身の肛門を見ることは難しいですし、ましてや手術なんて…と思われる患者様はたくさんいらっしゃいます。手術で一体どんな事が行われているんだろうという患者様も多くいらっしゃいます。
これから手術を受けられる皆様、手術が必要と言われたけど決断に踏み切れないという皆様、ご参考になりましたでしょうか?