「痔の日帰り手術」を受ける時の実際の手順はどういう流れなのでしょうか。
実際に手術を受ける立場になれば、手術前の準備、体位、麻酔の方法、手術後の様子など、不安な点が多いのではないでしょうか。できるだけリラックスして手術を受けて頂きたいものです。
そこで、手術に関する大まかな流れを書くと(施設や疾患によっても多少は異なりますが、スタンダードなところでは)以下のようになります。
①手術前の準備
手術に関する詳しい説明(手術方法や合併症)を受けます。
着替えを済ませてから、浣腸を行って肛門や直腸付近をキレイにします。
移動式のベッドの上で点滴を受けながら、処置(手術)室へ。
②体位
閉脚ジャックナイフ位で行うことが多いです。
「閉脚ジャックナイフ位」というのは、「うつぶせで、下腹部とベッドとの間に枕を挟んだ体位」です。
③麻酔の方法
仙骨麻酔がほとんどです。「仙骨麻酔」というのは、尾てい骨から頭側に7cm程度の部分にある「仙骨裂孔」というくぼみから麻酔薬を注入する麻酔法です。肛門付近が麻酔されます。意識は普通と同じで、上半身は自由に動かせますし、話もできます。
そして手術・・・・手術中は肛門をなんとなく触られているような感覚がありますが、痛くはありません。
手術時間は病気にもよりますが、概ね10~30分です。
④手術後の様子
手術後2-3時間程度、ゆっくりと休みます。この時間で麻酔は十分に醒めます。
帰宅してからの通院間隔や手術した傷の管理方法、お薬の飲み方、万が一のトラブルが起きた場合の対処法についてガイダンスを受けて終了です。帰宅時は車や自転車の運転は可能ですが、できれば避けるようにします。
・・・・いかがでしょうか。
私はいつも思うのですが、日帰り手術の患者さんにとってのクライマックスは、「仙骨麻酔」の瞬間ではないかと思います。というのは、手術室で医師の手で行われる最初の手技であり、麻酔さえかかれば手術中は全く痛みがないからです。肛門のすぐ頭側の皮膚に細い針が入る瞬間のチクッとする痛み、そして麻酔薬を注入される時に感じる肛門付近の重い感覚・・・でも、それさえ済めばもう安心です。手術する部分への局所麻酔と比較して、手術中の痛みがありません。
常々私は日帰り手術の患者さんには、手術の大まかな流れを理解して頂くと同時に、
「手術は処置の延長のようなもの」とお話して、リラックスして頂くように心がけています。