痔核は3種類ある痔のうちの一つです。
痔核とは直腸や肛門の血液の循環が悪くなり、静脈が膨らんで瘤状になった状態のことをいいます。
ヒトはどうして痔核(いぼ痔)になってしまうのでしょうか・・・原因は様々です。
(参照)痔核(いぼ痔)について
もともと、直腸と肛門はおなかの臓器の血管と体の表面の血管が交差する場所であり、多数の静脈が静脈叢という網の目を作っています。
①慢性的な便秘のため腹圧をかけて排便することにより、肛門付近の血液が心臓に戻る経路が塞がれてしまい、その結果として肛門部の静脈が膨れてしまうと考えられています。これを何度も、何年も繰り返すことにより痔核が形成されていきます。
②特に女性の場合は妊娠によって骨盤内の圧力が高まり、肛門付近に血液が集まってしまいます。
この状況が数ヶ月にわかって持続することで、非常に痔になりやすいのです。妊娠後の女性の半数以上が痔になっているとも言われています。
③人類が直立二足歩行を始めたことによって足や肛門などの身体の低い部分に血液が留まりやすくなったことも痔の原因のひとつと考えられています。
④人間社会の変化に伴い長時間にわたり、同じ姿勢を続けることが多くなったことも痔核の発生と関係しています。
デスクワーク中心のサラリーマンや、タクシーの運転手、重い物を扱う職業の方は肛門の静脈のうっ血をきたしやすく要注意です。
⑤食事としてはアルコールや辛いもの、コーヒーなど、いわゆる刺激物の摂取や、身体の冷えなども痔核と関連があることがわかっています。
・・・・このように多くの理由で、簡単に痔核になってしまうのです。
なお、症状としては、「肛門の痛み」「肛門からの出血」「肛門からの脱出」が代表的です。
同じ生活をしていても全く痔とは無縁の方もいますので、上に書いた原因が全てではありません。
はっきり言えることは、痔になることの原因は不可抗力であることが多いということでしょうか。
今日も多くの痔を診察しました。
症状があるのに我慢を続けて受診が遅れたために、手術が必要な段階の方がほとんどでした。
少しでも症状があれば、早めに受診する方が良いでしょう。